森岡利行監督日誌

板尾さんの芝居観劇と阿南健治と再会

稽古が休み(ダンス稽古はしていたが)の為、
自宅の近くで風吹ジュンさんの撮影だったということもあり、
『ツレうつ』のロケ現場に顔を出す。監督が私をスタッフや俳優に紹介してくれたら、
風吹さんがビックリされていてこっちもビックリしてしまった。脚本が私だと知らなかったようだ。
「映画評判いいらしいねぇ~、初号試写行けなくてごめんね」といつも明るい風吹さんだった。
制作には森岡組だった菅沢くんやガッキーこと稲垣くんもいて驚いたが、
知ってる顔を見ると何故か安心した。
原作のマンガは深い話しにも関わらず、可愛く笑える絵だったが、
ドラマの方は、女性監督(合津直枝さん)の明るい声とは眞逆で、
手持ちカメラのドキュメントタッチで、自然光を用い、重厚な雰囲気が醸し出されていた。
ツレ役の原田泰造さんもうつ状態、藤原紀香さんは髪もぼさぼさで、
もうどうしていいかわからない主婦を演じ、風吹さんの医者は、
あの人にかかれば病気も治るだろうなと思わせるぐらいの名医ぶりだった。
期待大である。

その後、新国立劇場に向かい板尾創治さんの芝居を観劇。
今日は森岡組に出演してくれた俳優デーだ。
数日前にたまたま初台を歩いていたら、板尾さんが私を見かけ、
知人を通して声を掛けられたのだ。
板尾さんの公演の後、『路地猫』なのでちょうどよかった。
共演者の阿南は一緒にバイトや芝居をしたことがあり、旧知だった。
アフタートークの途中で『ごくせん』の撮影があるからと途中退席、
楽屋口ですれ違うと、「監督やってるンだったら、使ってくださいね」と言い残し、
素早く去っていった。売れて良かったなぁ……阿南。

板尾さんの芝居観劇と阿南健治と再会_f0149081_22444786.jpg作:オーウェン・マカファーティー 
翻訳:浦辺千鶴 小田島恒志
演出:田村孝裕
出演:板尾創路 柄本 佑  阿南健治 平田 満

【公演概要】現代海外戯曲を日本演劇界の若手が演出する企画、シリーズ・同時代【海外編】第2弾は、北アイルランドを代表する劇作家オーウェン・マカファーティーの『シュート・ザ・クロウ』が登場します。マカファーティーの作品が日本に紹介されるのは今回が初めてとなります。本作品は1997年にアイルランドで初演され、2003年にはマンチェスターにてイギリス初演、2005年にはロンドンのトラファルガー・スタジオで上演され絶賛されました。タイル貼り職人4人の人生が見える不思議なユーモア漂う会話劇の妙が味わえます。演出は劇団ONEOR8を主宰し、外部公演やテレビの脚本も手がける田村孝裕がつとめ、キャストは、舞台や映画など幅広く活躍中の、表現豊かな4人の演技派による組合せが実現しました。イギリスの演劇シーンで今最も注目される劇作家のひとり、マカファーティーの日本初演の舞台にどうぞご期待ください。

# by straydog2007 | 2009-04-12 00:00

稽古場で

『路地猫』出演者でフブキ役の春日井静奈の誕生日を祝った。
私は4月1日生まれで、顔合わせの日だったので、絶対に祝うなと制作に命じておいたので、
助かった。この歳になると祝いとか恥ずかしいったらありゃしない。歳を言うのも気が引ける。
まだ、つい最近、上京してきた感じだ。もう30年近くなるのに。
(気持ちはあの時のまま、変わっていない)

以前、誕生日に公演があり、芝居がボロボロだったので、祝って貰う気にならず、
「あんな芝居見せられてケーキなんか食えるか!」と怒鳴り、
何日後かにやっと初日が出た(芝居が合格点になる)ので、冷蔵庫に入れていた
賞味期限の切れたケーキをみんなで食べてお腹を壊した覚えがある。
それでも女優さんの中には気の利いた人もいて、
(義理チョコみたいな感じで)プレゼントをこっそりくれたりするのはありがたいが……。

稽古場で_f0149081_103020.jpg去年の『路地猫』では宮地真緒が公演中に誕生日で、カーテンコールでお祝いをしたのだが、
宮地と同じ事務所の朝倉えりかも千秋楽に誕生日で、
「朝倉には『お祝いはしないから』と言って騙すから」と黒川芽以に言っておいた。
「了解しました!」と、こういうときの黒川の目はキラキラ輝く。
楽屋で朝倉に、
「宮地はキャリアがあるので、舞台上でお祝いしたけど、お前はまだ新人だからしないからな」
と私が言うと、黒川が「そんなの関係ないじゃん! やってあげればいいのに!」と、追い打ちをかける。
「この業界にはヒエラルキーってのが大事なんだよ!」と私が否定し、朝倉を納得させる。
なんというチームワーク。

千秋楽、舞台上に黒川がケーキを出したとき、朝倉は驚愕し、嬉しくて号泣していた。
大成功だ。
左から長澤奈央、朝倉えりか、宮地真緒。
# by straydog2007 | 2009-04-10 00:00

NHKから

「脚本家からのひとこと」……というのを依頼された。
ドラマのスタッフが急いでいるらしいので、
演出席で森田ガンツがジムのコントを稽古している最中に書いてみた。
だからガンツの稽古は見ていない。聞いていた。ちゃんと出来てただろう、たぶん。
『路地猫』二回目だし。ガンツの笑い声しか聞こえなかったが……。

 「ツレがうつになりまして。」脚本執筆にあたって

                                                    ■脚本家:森岡利行
 
 私の知人(主婦)のツレ(夫)も「うつ」です。
 ある日、そのツレはどこかの屋上から電話してきて、「迷惑かけてごめんね……もういなくなるから」と言いました。知人は慌てず、叫びたい衝動を抑え、落ち着いた優しい声で「帰ってくるンでしょ……ご飯作って待ってるからね」と言い、震えながら電話を切りました。ツレは「自分は必要とされている人間だ」と思い、ビルから飛び降りるのを止めたそうです。
 現在もそのツレは何かの拍子に発作を起こし、会社の人に家まで連れられて帰ってきたりするそうで、知人は気苦労が絶えません。
 その知人がこのドラマの原作となった細川貂々さんのコミックエッセイ『ツレがうつになりまして。』にはたいへん助けられたと言っておりました。
 「うつ」の本はたくさんあるのですが、医学用語が多く、文章も難解でフツウの主婦には読みづらいものなのでしょう。知人が「貂々さんに会いに行ってお礼が言いたいくらいッ!」と叫んでおりましたので、この場を借りて私が代わりにお礼を言います。
「貂々さん、ツレさん、素敵な原作を、ありがとうございます!」
 原作の良さが、ドラマでも表現出来ればという気持ちで脚本に臨みました。
 そして、現在、「うつ」という病気にかかっている人も、そうでない人も、貂々さん、ツレさん夫妻が子供のように可愛がっているイグアナのイグに心を癒されたように、ドラマを見て、ほんのちょっぴりでも心を癒していただければ、幸いです。



この話は実話だ。
# by straydog2007 | 2009-04-09 00:00

『女の子ものがたり』のプロデューサーから驚愕の……

『路地猫』の稽古は順調だ。
いつも稽古始めにはボクササイズを行う。
他の仕事がある人が多いため、抜き稽古(部分を集中的に行う)をしているのだが、
出演じゃない俳優も、ボクササイズには参加して汗を流し、
抜き稽古を見学してくれている。
ガンツは動き始めると休めなくなる体質らしく、一生懸命取り組んでいる。古川も若いので、
みんなに追いつこうと必死に稽古に参加している。なんせ1日休むと3日遅れるのが、
我々、ピアニストの世界だ……って誰がピアニストや!?
ガンツが笛木(ユミン)のボクシングが凄くチャーミングで見惚れていると思ったら、
実は最年少男子の古川も可愛いらしく、稽古中に裸の胸を隠す古川に
「お前、気持ち悪いのう」というセリフを
思わず「お前、可愛いいのう!」と変えていた。
セリフ勝手に変えるなよガンツ(笑)。

女子はボクシングの他に猫ダンスもあるので大変だ。
それには感謝しているのだが、仕事が忙しくて、来られない人が心配だ。
こういう稽古って毎日の積み重ねが大事なんだけどね……
俳優それぞれがどういう意識で舞台に立ち向かっているか……それが問題で、
映像は編集でごまかすことが可能だが、
舞台は観客を騙せない。
躰やセリフのひとつひとつ、ごまかしが効かないのだ。
我々は下りのエスカレーターを昇っていっているようなものなのだ。
止まると下がっていくばかり。
だから、休んでいる暇はない……昇り続けるのだ。

なんて休み時間に考えていると、
『女の子ものがたり』の西口プロデューサーからの電話!
なんとッ! エエッ! なんてこった!? そんなことってあるの?
みたいな問題が勃発し、選択を迫られた。

これだけ書いているとおおごとのようだが、おおごとだ! 
なんせ、×××が×××しての×××は×××だと言うのだ。
あの西口Pとの楽しい編集の日々が蘇えり、エスカレーターを下っていった感じになった……。
それにしても××が良い映画だと褒めてくれていたのは嬉しかったけど……。
映画関係者にはもしかしたら分かるかもしれないが、
フツウの人はなんの話かさっぱりわからないだろうな。


×××が何かは、今は言えないので想像にお任せするが、稽古の話の中に映画の話しへのリンクがあり、ちょっとヒントが隠されている。公開時には言えるかもしれないけど……。
# by straydog2007 | 2009-04-08 00:00

五期生最終ボクササイズと発表会

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終了後、打ち上げへ。
五期生のみんな、半年~1年間お疲れさま!
これからも頑張って精進してくれ!
俳優は常に切れる刃物のように研いでいてくれ。

いつかまたどこかの現場で会おう!

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森田亜紀と5期生のゆかいな仲間たち。
# by straydog2007 | 2009-04-05 00:00



脚本家・監督 森岡利行のブログ

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