数日後、叔父が他界した
食道癌だった。享年58歳。報告を受け、大阪まで通夜に向かった。ジムの二階にある自宅で叔父の亡骸と対面した。何故かその時は涙が出なかった。長男で森岡ジムの会長・和則が叔父の鼻にピーナッツを詰めて遊んでいた。オレがまだ幼い頃、叔父に詰められたことがあり、それが詰まって病院に行かなければならなかったことを思い出した。「なんで具合悪いの教えてくれへんかったンや」と私は叔父の妻の裕子に訊いた。「言うな言われてたから……弱ってるの見せたくなかったンと違うか」電話で話した時は、たまたま入院先の病院を抜け出して、家に帰っていたという。裕子と思い出話をして笑った。検査入院の時、スーパーで買ったパジャマを着せたら、トイレで同じパジャマを着ている人が二人もいて、「これは囚人服か」と文句を言われたこと、手術の前に手術着の下に白いタイツをはかされ「ワシはバレリーナか」と戯けて見せたこと……
そんな話をしていたら、葬儀屋さんが来て、亡骸を棺桶に入れる作業が始まった。 それを見ていたら……泣けてきた。葬儀屋さんもハンカチで顔を拭っていたので、悲しんでくれていると 思ったが、ただ汗を拭いていただけだった……裕子と二人で笑った。 棺桶の上に猫のミャーが乗り、叔父の顔を眺めていた。
by straydog2007
| 2004-11-09 00:00
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